なぜ「スーツ選び」が新入社員にとって大切なのか
「正直スーツなんて、着られればいい。できれば着たくない。」
そう思っている新入社員の方は多いと思います。事実、スーツ販売に携わってきた私自身も同じ気持ちを抱いたことがあります。
ではなぜ、新入社員にとって「スーツ選び」が大切なのでしょうか。
理由はシンプルで、第一印象が人間関係の9割を決めると言われているからです。
特にスーツ着用が当たり前の職場では、「きちんとした社会人ですよ(⌒∇⌒)」感を演出するためにスーツは欠かせません。スーツは重要な仕事道具のひとつです。
さらに、スーツは社会人生活の中で必ず着る機会があります。
入社式や研修はもちろん、取引先との商談、冠婚葬祭など、場面を問わず必要になります。
実際に、スーツ屋のバイトをしていた後輩が、入社式でお偉いさんから「いいスーツ着てるね」という一言から関係が発展し、結果的に入社後の待遇が良くなったと言っていました。
確かに新社会人は出費が多いですが、スーツは一着3~5万円が相場です。どうせ買うなら知識を持って選び、勝負服としてふさわしい一着を手に入れることが、これからの社会人生活の心強いお守りになるはずです。
新入社員におすすめのスーツの色と柄
基本は「ネイビー」or「グレー」


新入社員が最初に選ぶスーツは、定番色であるネイビーかグレーがおすすめです。
どちらを選んでも大きな問題はありません。
- ネイビーの印象:若々しい/爽やか/誠実/明るい/親しみやすい/信頼感がある
- グレーの印象:落ち着き/堅実/シック/大人っぽい/控えめで知的/真面目な印象
などといった印象があります。
少し前までは、グレーは高度経済成長期にブームになった影響で、「おじさん臭い」というイメージを持たれる方が多かったですが、それもここ数年で落ち着き、今は“やや”ネイビーの方が人気。
むしろネイビーが若い世代に浸透してきたため、逆にグレーが良いという方も体感として増えてきた印象があります。
特にグレーはインナーやネクタイを選ばない万能カラーで、親御さんからの印象は分かれるものの、ビジネスでは非常に使いやすい一着です。
好みや社風、自分のキャラクターなどを踏まえて、スーツ屋に行く前に考えておくと決めやすいです。
ブラックスーツは避けた方が良い理由
就活で黒のリクルートスーツを買った方も多いと思います。しかし、黒無地のスーツは本来「冠婚葬祭用」のフォーマル服。入社後もビジネスシーンで着続けると違和感があります。
もちろん入社式の服装規定があれば問題ありませんが、できれば新しいスーツを用意するのがおすすめです。リクルートスーツは「入社直後のつなぎ」として半年ほど使う方が多いです。
入社前にスーツを買うリスク
入社前に「とりあえず」とスーツを買う人も多いですが、注意が必要です。会社の社風や先輩社員の服装を知らないまま購入すると、「もっと地味で良かった」「逆にもっとフォーマルじゃないと浮いた」などの失敗につながることがあります。
内定後、職場に行く場面ありましたら、少しチェックしておくと、服装の不安が低減するかと思われます。
分からない場合は、まず入社式用に紺の無地スーツを1着購入し、入社後に職場の雰囲気を見ながら必要なスーツを揃えるのが賢い方法かと考えます。
サイズの選び方【初心者でもわかる基準】
肩幅・袖丈・着丈の目安
スーツのサイズ感を決める最重要ポイントは肩幅です。肩線が自分の肩に自然に合っているかを確認しましょう。袖丈は手首の骨にかかる程度、着丈はお尻が隠れる長さが基本です。
>>【初心者向け】スーツ、ワイシャツのサイズの見方と選び方まとめ
スーツのサイズ感の詳細な目安はこちらにまとめてあります。
ただ、正直全部のサイズ感を把握するのは難しいです。スーツ屋でも半年かかります。その為、「ふーん」程度で流し見して置き、店員さんと相談しながら決めるが良いと思います。
【重要】パンツの裾の長さ(ハーフクッション推奨)
基本的に、スーツの裾の長さは好みとトレンド、それにTPOに合わせてカッティングされます。



ワンクッション:裾の先がが靴にしっかりかかる。やや古典的でフォーマル寄り。
ハーフクッション:革靴に裾の先が軽くかかる。ビジネスの大定番で万能。
ノークッション:裾の先が靴にかからない。細身スーツ向きでややカジュアル。
初心者には「ハーフクッション」がおすすめです。
試着のときに見るべきチェックポイント
- ウエストが余りすぎないか(余りがあるとシャツが出やすい)
- ボタンを閉めたときに横ジワが強く出ないか
- 脇周りが軽く吸い付く程度か(緩すぎると全体がダボついて見える)
楽だからと大きめを選ぶ、細身に見せたくて小さめを選ぶのはNG。
必ず試着して、サイズを変えるのか、直しで調節するのか、スタッフと相談して決めていくことが必要です。
ワイシャツ・ネクタイ・靴との合わせ方
ワイシャツは白・サックスブルーから
ワイシャツは白の無地系が基本。うっすら柄が入っている程度のシャツであれば、よほど固い会社でなければ問題ないことが多いです。
ややカジュアルでも許される職場なら、薄いブルーやライトグレーも取り入れるとバリエーションが広がります。
ネクタイは「シンプル&落ち着いた柄」が基本
ネクタイは、まず一本目でお勧めしたいのは、無地の紺のネクタイ。ぶっちゃけどんなスーツにもシャツにも使います。私が、スーツ屋勤務していた時、痛むたびに買いなおしていました。合わせにくいシャツでも結構しっくりくるので、お勧めです。
その他はストライプ・小紋・ドットといった定番柄を、2~3色に抑えると安心感があります。
革靴とベルトは黒のストレートチップで統一
新入社員は黒のストレートチップかプレーントゥが無難。
最低2足用意し、交互に履くと段違いで長持ちします。茶色の革靴は店員から勧められることも多いですが、後から揃えても遅くありません。
革小物(ベルト・靴)は同じ色で揃えるのが基本ルールです。その為、色々と揃える必要性が出てしまうので個人的には面倒くさいなと思ってしまいます。色がチグハグだと、不格好になりますので、従っておいた方が安心です。
小話ですが、サイフや名刺入れなども色を揃える紳士もいらっしゃいますが、そこまでは気にしなくてもいいと思います。そこは趣味の世界です。
スーツを買うベストなタイミングと価格帯
春の新入社員セールを狙う
2月頃、早いと1月末頃から各社で新社会人向けのセールが始まります。どの量販店でもセット割引やパックプランが展開されており、通常より安く揃えることができます。
大学や専門学校の方から”はがき”や”パンフレット”などがもらえる場合も多いです。しかし、どこのスーツ屋もセール時期なので、安くなっています。
はがきをもらったところに行ってみてもいいし、気になるスーツ屋があれば行ってみてもいいと思います。正直、値引きはどこもしていて、金額の着地は大体一緒です。
>>大手スーツ店4社(青山・AOKI・はるやま・コナカ)比較ガイド
予算相場は3~5万円が目安
格安のパックプランは、去年はどこのスーツ屋も打ち出していて、「スーツ・シャツ・タイ・シューズ・ベルト」などがセットで3万、みたいなセールはどこのスーツ屋もやっていたと記憶しています。
もし予算が厳しい場合は、そのプランのあるスーツ屋に行くことをお勧めします。
ただ、そのプランには裏があり、格安の素材を使って利益を出している為、正直長持ちするかというと、怪しい所になります。
2着で5万6万くらいのセールで、しっかりとしたものを買う方が、見栄えも耐久性も良く、トータルのコスパが良くなります。
新入社員がやりがちなNGスーツ例
真っ黒スーツをそのまま着る
最初の内はリクルートスーツを着るのもなんら違和感がありません。が、夏場のクールビス過ぎ、会社にも馴染んできた時まで、リクルートスーツというのは、少し不格好に思えます。
本当にスーツを着る機会がない場合などは、格安のスーツを黒以外で一着でも持っておくと、それだけで大分使いまわしは効きます。
オーバーサイズ・スリムすぎるサイズ
スーツやワイシャツは着なれてないと間違えなく「キツい」と感じてしまいます。
明らかにきつい時は、前ボタンを閉めたときに横ジワが「強く」出ていたり、スラックスを正面から見た際に、横ジワが入っていたりします。
ある程度のキツさはかっちりさにもつながります。正しい、サイズ感をスタッフの方の話をよく聞きながら、試着していくことをお勧めします。
また、最近ファッションの世界では、ややゆとりのあるデザインが主流となっています。その為、スーツもある程度の余裕は必要ですが、オーバーサイズは絶対にNGです。
余裕が欲しい時は、サイズを上げるのではなく、身体にあったサイズ感でデザインを変えていくのが良いです。個人的には、青山、コナカの中年向きのスーツは、全体的なシルエットがゆったりしていて好みです。
派手なシャツやネクタイ
成人式があった方などは、派手なスーツやネクタイをお持ちかもしれません。
ただ、それはパーティー用、お洒落様であり、ビジネスだと不向きになる場合が多いです。
会社になじむまでは、物足りないかもしれませんが、先ほど挙げた柄や色を中心に「安牌」なネクタイを数本用意しておくことは、後々使う場面でも重宝いたします。オススメは紺の無地のネクタイ。
長く着るためのスーツのケア方法
ブラッシングとハンガーの選び方
- 着用後は洋服ブラシでホコリや花粉を落とす
- ブラッシングは生地を傷めずにシワも整えてくれる
- ハンガーは「厚みのある木製」がおすすめ(肩の型崩れを防ぐ)
- 針金ハンガーはNG
連続で着ない(2日休ませる)
- スーツはウール素材が多く、湿気を吸収するため休ませることが重要
- 連日同じスーツを着ると、生地が傷みやすく寿命が短くなる
- 最低2〜3着をローテーションして使うのが理想
クリーニングの頻度
- 毎回出す必要はなく、“シーズンごと(年2〜3回程度)”で十分
- クリーニングは強い圧がスーツにかかる為、頻繁に出すと生地が傷みやすい
- 汗をかいたり、シミがついた場合は早めにクリーニングへ
- 普段はブラッシングとスチーム(ファブリーズなどの霧吹きでも可)で十分
✅ 新入社員スーツ完全チェックリスト
スーツ選び
- 色は「ネイビー」または「グレー」を選んだ
- ブラック無地は「冠婚葬祭用」と理解している
- サイズ感は肩幅・袖丈・着丈が合っている
- パンツ丈は「ハーフクッション」で調整した
- 試着時にウエストや脇周りを確認した
シャツ・ネクタイ・靴
- シャツは白または薄いブルーを用意した
- ネクタイは「紺の無地」を1本揃えた
- その他のネクタイはストライプや小紋柄など落ち着いたもの
- 靴は黒のストレートチップ(最低2足)を用意した
- ベルトは靴と同じ黒で統一した
購入のタイミング・予算
- 春の新入社員セールをチェックした
- 予算は1着2~4万円を目安にした
- セットプランを利用する場合、品質も確認した
- 入社後に社風を見て追加購入を検討する予定
NG例を避ける
- 真っ黒のリクルートスーツを長く着ない
- オーバーサイズや細すぎるサイズは選ばない
- 派手なシャツやネクタイは避ける
ケア・メンテナンス
- 着用後は洋服ブラシでホコリを落とす
- ハンガーは厚みのある木製を使う
- 同じスーツを連続で着ない(最低2日休ませる)
- スーツは最低2〜3着をローテーションしている
- クリーニングは年2~3回を目安にしている
まとめ|自分に合ったスーツで好印象のスタートを切ろう
新入社員にとって、スーツはただの服ではなく「社会人としての第一印象を決める名刺代わり」です。
色はまずネイビーかグレー。この2色さえ押さえておけば、大きな失敗はありません。
大事なのはサイズ感と外し過ぎない。これだけで見え方は一気に変わります。
スーツって面倒くさいイメージがあるかもしれませんが、実際は仕事道具そのものです。
ときには自分の信頼を引き上げてくれる存在にもなります。どうせ買うなら、ちゃんと選んで、きちんとケアして。そうやって手に入れた一着は、きっとあなたの社会人生活を支えてくれる“お守り”になるはずです。